まだまだなくならない!紙の書類・文書管理の効率化術
- 進むペーパーレス化・なくならない紙の書類
- ペーパーレス化が進む背景
- 企業で扱う書類の保管方法とは
- ペーパーレス化のデメリット
- 文書のライフサイクル
- 企業で扱う書類の保管期間
- 書類保管の基本的な流れ
- 文書保存とファイリングのコツ10選
- 結局、書類保管方法はどれがいい?
- 書類保管を効率化する方法
進むペーパーレス化・なくならない紙の書類
ペーパーレス化が進む背景
デジタル技術を活用して、行政手続等の利便性の向上や行政運営の簡素化・効率化を図るため、令和元年5月に公布、同年12月施行された「デジタル手続法」。これは行政手続きオンライン化を原則とし、行政機関間の連携によって入手参照できる添付書類については添付を不要とする規定を整備したものです。
また、令和4年1月1日には「電子帳簿保存法」が改正され、施行以降に行われる電子取引については紙での保存が禁止され、すべての事業者に電子データによる保存が義務付けられました。
これら2つの法律にも後押しされ、ペーパーレス化が進んでいます。
企業で扱う書類の保管方法とは
企業で扱う書類の保管方法は、紙のままの保管か、電子データによる保管の二つに大きく分かれます。
会計関連書類などの帳簿書類は、紙での保存が原則とされており、紙で発行・受領した書類をデータ化して保存、データとして発行・受領する場合には、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。
ペーパーレス化のデメリット
推進されているペーパーレス化ですが、下記のようなデメリットも存在しています。
- 1. 手書きでメモができない
- 2. ITに不慣れな人には使いづらい
- 3. ディスプレイの画面の大きさによるため見にくいことがある
- 4. 全体を眺めたり裏返したりといった一覧性に欠けることがある
- 5. ハードウェアのトラブルによるデータの大量喪失、サイバーアタック・USBメモリの持ち出しなどによる情報漏洩等のリスクが伴う
- 6. 紙でもらったものを電子化するにはスキャン等の手間がある
これらのデメリットや紙での保存が原則とされている書類があることから、現在でも企業にとって紙の書類管理はなくなりづらいと言えます。
文書のライフサイクル
企業で扱う書類の保管期間
オフィスを整理整頓するためには書類を片づける必要があり、その際に重要なポイントは保管期間ごとに書類を分類することです。
会社法をはじめとする各種法令で保管期間が定められている書類は「法定保存文書」と呼ばれ、文書の種類によってそれぞれ保管期間が設けられています。
重要な書類を誤って廃棄してしまうと、適正な税務処理を行うことができずにペナルティを課されるなど、企業としての信用を失う事態に発展する可能性があります。
永久的に保管すべき書類 | ・定款 ・株主名簿 ・官公庁への提出書類 ・知的所有権に関する書類 ・登記、訴訟関係書類 ・社規や社則の通達書類 ・重要な人物に係る書類 ・従業員の社会保険などの書類 など |
5年~10年間の保管が必要な書類 | ・株主総会議事録 ・取締役会議事録 ・委員会議事録 ・決算に必要な書類 ・取引に使われた帳簿 ・監査報告書 ・従業員の身元保証書 など (人事・総務に関わるものは5年前後、経理や税務に関わるものは7年、 会社法に関連する書類なら10年と覚えておくと良い) |
1年~5年間の保管が必要な書類 | 保管期限が3年のものとしては、労働関係の重要書類などを含む「労働者名簿」がある →このなかに、賃金台帳、雇入れ、解雇、退職に関する書類などが含まれる 労働保険の徴収、納付等の関係書類などを含む「労災保険に関する書類」も同様に3年間の保管が定められている 2年間の保管が必要とされている書類には、雇用保険、健康保険、厚生年金保険に関する書類がある |
保管期間に決まりがない書類 | 法令で保管期間が定められていない書類は、自社で保管期間の基準を設定する ポイントは、社内で保管期間の基準を統一すること |
保管期間が過ぎた書類はシュレッダー、もしくは専門業者に依頼して溶解処理を行って速やかに廃棄処分します。どのように処分する場合でも、個人情報や機密情報が外部に漏れないように適切な方法で処分することが大切です。
特にマイナンバーが記載されている書類の処分には注意が必要です。政府のマイナンバーに関するガイドラインによると「マイナンバーをはじめとした特定個人情報は、保管期間が過ぎたら速やかに廃棄しなければならない」と定められています。
書類保管の基本的な流れ
基本的な書類保管の流れは以下のようになります。
- ① まずは書類を分類する
- ② 書類をフォルダーやファイルなどに入れる
- ③ 書類の保管場所を決める
- ④ 取り出しやすいようにまとめて保管
重要書類を保管する場所は直射日光が差し込まず、温度や湿度の変化が少ない場所が理想です。一定期間後に廃棄する保管書類や、頻繁に確認しない長期保管書類を収納したファイルは、トランクルームなどのレンタルスペースに保管も検討します。
文書保存とファイリングのコツ10選
文書保存とファイリングのコツをご紹介します。
- 1. ファイリングのラベルは見えやすい&同じ位置に貼り一目でわかるようにすること
- 2.「使わない」「再入手可能な」書類は思い切って処分すること
- 3. 仕事と同時進行でファイルのスリム化をすること
- 4. ファイリングに色づけをし、見やすいようにすること
- 5. 必要な書類はオフィスで共有化をすること
- 6.「玉突き方式」の移し替えで処分の判断を行うこと
- 7. 保管期間はあいまいにしないこと
- 8. 書類保管ファイルは綴じかえやすいものを使用すること
- 9. 利用しているサービスの契約書はまとめておくこと
- 10.取引先との書類は月別、もしくは五十音順に分類して書類保管すること
結局、書類保管方法はどれがいい?
書類保管を効率化する方法
外部の保管サービスを利用する
書類や文書の保管サービスを実施している会社に依頼して、書類や書類を安全に保管してもらう方法。
ウェブから簡単に依頼することができ、書類の入出庫はもちろん、期限が過ぎた書類の破棄依頼もできるサービスもあります。
気軽に依頼しやすい外部の保管サービスですが、重要な書類を保管する場合は、立地や利便性、セキュリティ等を考慮して慎重に選ばなければなりません。
津波や洪水など水害を受けにくい場所か、地震が起きても液状化の危険性はないか、火災発生要因がないかなど、しっかりと下調べをしておくことをおすすめします。
機密書類などを保管する場合は、情報の取り扱い面におけるスタッフ教育はなされているかという点も重要です。
クラウドサービスで書類を管理する
電子帳簿保存法の要件を満たしている場合、電子化した書類をクラウドサービスで管理する方法。
社内にある書類をクラウドサービスでデジタル化、検索機能があれば簡単に呼び出すこともでき、社内での書類の共有もスムーズにできるようになります。書類を探す手間を省けるため、人的・時間的コストの削減につながります。
課題としては、電子化する書類が多い場合は移行に時間がかかる上、ITシステムの利用が得意でない社員にとってはむしろ非効率になることも考えられることです。
ICタグで書類を管理する
紙の重要書類をRFIDのようなICタグを用いて管理する企業もあります。
RFIDは、電波を用いてICタグの情報を非接触で読み書きするシステムです。
離れた場所からでも一括で複数枚のタグ情報が読み込めるため、バーコードやQRコードでのように1点ずつの照合を行わなくてもよく、大量にある書類・ファイルから必要なものを探し当てたり、有無を一瞬でチェックしたりすることが可能です。
RFIDには用途に応じた機器やICタグの選択、システム構築の複雑さから導入が難しい・費用がかかるという難点がありますが、RoconieはRFIDの機器とアプリやクラウド環境がパッケージになっているため、RFIDを簡易に導入することができます。書類管理などのために保管期限を終了したものを通知するといった機能もあります。